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英習字 その4 



これも国立国会図書館近代デジタルライブラリーから。
英習字本. 巻之1 図書 鈴木篤三 著 (鈴木篤三, 1884)
明治17年に出たものです。

e8.jpg

なんと日本の書道の永字八法になぞらえて、英字八法!

これに必要なストロークがすべて含まれているかは?ですが、日本の書と関係づける発想がおもしろいです。

denki.jpg

そして、こちらは
電気用英語 : 電機学校長距離教授. 前,後篇 図書 (電機学校叢書 ; 第6巻) / 嶺岸久治 著[他] (電機学校, 1917)の1ページ。「円形で斜体」のアルファベットを練習するページに続いての文章。

「英習字に対して編者が切望するのは個性の発揮である。諸子は各自に筆記を実地に屢々練習して諸子特有の個性を発揮しなくてはならぬ。抑も教授の要諦は各自の個性を無視して悉く同一の鋳型に嵌めようとする模倣性の促進にあるのではなく実に各自の特有する個性の発揮にあるのである。編者は英習字教授に対して特に痛切に之を感じている。古来「手蹟は人格の反影なり」と云ふではないか。」

そして、次のページには「特有的」なエジソンのhandwritingを載せています。

edison.jpg

そう、当時の英習字の教本にしても、そしてその1で見たスペンセリアンの本にしても、とにかく型どおりに書くことを求めているのです。長く表現の中心でもあった書道に対して、主にビジネスライティング、商業用だったペンマンシップは、その人の「個」というのがあまり重要ではなかったのかもしれません。
これは、それに対して「個性の発揮」を求めている珍しい例ではないかと思います。

日本の(東洋の)書道の考え方を、アルファベットにもあてはめて考える。

英習字その1で取り上げた「英習字研究」という冊子でも日本語のペン字もとりあげられていましたが、「美しく書く」ということで、英語日本語わけない考え方は、今みるとかえって新鮮でもあります。



ところで、ひとつめに取り上げた「英習字本」は、奥付を見ると、著者・出版人は和歌山の方です。「和歌山 成進堂 伊東一枝銅刻」とあるので、版を彫った職人さんも和歌山の方なのではないでしょうか。
なんで、和歌山?と思ったのですが・・・

「その2」でも参照した『日本人は英語をどう学んできたか』(江利川春雄)の「第4章 英語教育の忘れられた先駆者たち」にそのヒントになりそうなことが書かれていました。
開国前から西洋船が出没し、アメリカの船が「日本に最初にやってきた」のは、紀州串本沖の大島。「和歌山は全国一の移民県であり、なかでも北米移民が多かった」そう。
こちらの和歌山県移民史年表を見てもその行き来が盛んなことがうかがえます。

「幕末明治初期における英学の最大拠点だった慶應義塾と紀州和歌山との関係は深い」そうですが、ここで取り上げられている『英語独案内 附 西洋料理法』という実用英語の本を書いた筋師千代市氏は「出稼ぎ移民」だそうで、幅広い層が英語を身に着けていたようです。

「英習字本」の著者がどういった背景の方なのかはわかりませんが、そのような土地だからこそ出版されたのかもしれません。


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