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コトバ綴ジ

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ぐるぐるとたどる

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いま、コップのなかで蒼ざめて咲く
花たち、色あせた壁を背に、
窓からはいって、すりへった石の上を
よこぎっていく日のひかりのとなりで。
すべてのなかで燦めいているのはあの
蒼ざめた薄むらさきだけ。夜あけが
残した、ひとつの炎。

「ヒヤシンス」(一部) ヴィルジリオ・ジョッティ 
(『トリエステの坂道』「ヒヤシンスの記憶」須賀敦子)より



今日はお天気もよくぽかぽか。
半月ほど前から、ヒヤシンスが咲き始めて、かおりとともに楽しんでます。

水栽培で育てたもの。
なんと、ふたご、でした。


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片側になかよく寄り添ってしまって、今はこの写真より球根がころがりそうになってます。

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根っこ、がまたきれいなんですよね・・・。

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「ヒヤシンスの記憶」のなかに出てくる、ジョッティの書いた本に心ひかれます。

『用途のない備忘録』。

もういない読ませるべき人へ綴った文章。
見えないところでつづられていったもの。


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ヒヤシンスをきっかけに記憶から記憶へ。
ふとたどりつく、ところ。


このヒヤシンス用のポットは、ヒナタノオトさんから。

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ほのかなのぞみを送るのはくらかけ山の雪ばかり



たよりになるのは
くらかけつづきの雪ばかり
野はらもはやしも
ぽしゃぽしゃしたり黝〔くす〕んだりして
すこしもあてにならないので
ほんたうにそんな酵母〔かうぼ〕のふうの
朧〔おぼ〕ろなふぶきですけれども
ほのかなのぞみを送るのは
くらかけ山の雪ばかり
  (ひとつの古風〔こふう〕な信仰です)

(「くらかけの雪」 宮沢賢治)


先週末は青森。こちらは桜が満開でしたが、むこうはまだ雪でした。
到着したときの空港では、粉雪。ぶるぶる。

写真は飛行機から。ちょうど今花巻あたりです、とアナウンス。

雪はすっぽりつつんでしまうのですが、その白で逆によく見えるものもあります。

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Ecstatic Alphabet

ecstatic
1 adj If you are ecstatic, you feel very happy and full of excitement. (=delirious)
2 adj You can use ecstatic to describe reactions that are very enthusiastic and excited. For example, if someone receives an ecstatic reception or an ecstatic welcome, they are greeted with great enthusiasm and excitement.
(Cobuild Online Dictionaryより)

Ecstatic。もちろん名詞形はEcstasyですが、なんだか日本語の単語ひとつを選ぶのがむずかしい・・・。エクスタシーな、と書いたほうがいろいろな感じをまとえるかも。ということで、Cobulidの訳をそのまま載せてみました。リンク先の下の段のように、いろいろ並べたい。

ということで・・・アルファベットにいつもわくわくしたり、うっとりしたり、ぼーっとなったり、興奮したり、幸せ感じている人に(?)。


今MoMAで、Ecstatic Alphabets/Heaps of Language という展示が開催中とのこと。

NYまではいけませんが、サイトでもその様子がちらりと見られます。
「Dial-a-Poem」のページでは、クリックするとランダムに詩が。(ダイアルをまわすんじゃないのが残念・・・)
私がダイアルしてみたときはジョン・ケージでした~。

「Exhibition Views」では、展示の様子が。7枚目の本がたくさん並んでいるうちの右端のまんなかの雑誌、2年前のイギリスで買っていてうちにあります。E.Johnstonの手稿が掲載されてたりしてなんとなく買ったのですが、おもしろかったので、またそのうち。

さて、「Historical Works」のページ。写真が並ぶ中にIan Hamilton Finlay の作品がふたつ。きっとカリグラフィーをしている人(や、私の好きなもの知ってる人)なら、目が吸い寄せられるはず。

わたくし、これまた2年前のイギリス、テート・モダンのすぐそばのアート系の古本屋で、偶然この方のアートブックを手に入れ、そして惚れてしまっておるのです。

下は、そのときのアートブックではないですが、同じく彼の展示についての本。

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ちょっとー。表紙からまいってしまいます・・・。
そして、俳句を思わせるようなこの言葉!

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彼は、自分の言葉をほかのartistsやcraftsman、printmakerたちとコラボレートして作品をつくっています。
Wikipediaには、そのたくさんのコラボレーターの名前があがっています。
クリックしていくと、なかにはLettercutterも何人か。
カリグラファーならJohn Nashのお名前も。Incisive Letterworkのおひとり、Annet Stirlingのお名前も。私が読んだ本にはRichard Kindersleyの名前もありました。
地道にクリックしていくと、ほかにもLetter Arts Reviewで作品をお見かけしたことある方も。

こちらのGuardianの記事で、Ron Costleyというtypographerが彼からどんなふうに依頼があったか語っていますが、コラボする人と実際に会うことはほとんどなく、ほとんど手紙!だったとか。それでも望んだ結果が得られたようです。


http://www.ianhamiltonfinlay.com/
こちらのサイトでは彼がやっていた出版社からでたカードやポスターなど印刷物の作品をたっぷり見ることができます。手書きの文字もたくさん。
内容を把握するには、ちょろっと背景のできごとなどを知ったほうがよさそうですが、見るだけでも楽しい。

しかし!私を本当に虜にしたのは、彼がつくった庭、LITTLE SPARTA。
ぜひ、こちらをゆっくりごらんください。

http://www.littlesparta.org.uk/

言葉の遊び、意味、そしてそれが風景の中に置かれること。

アートの知識がない分、こういうびっくりするぐらい好きな人に偶然出会うしあわせもあります。

たとえばこの作品→

広がる風景のなか。longがもつふたつの意味、6つにわけて刻まれた言葉。
6つの小さな壁を順に読んだり、行き来して読んだり、風景とことばをいったりきたり。
それがあることでことばも風景も新しい意味をもつ空間。

この庭の写真集LITTLE SPARTAも出ていて、たくさんの作品とこめられた意味を知ることができます。

先ほどの記事に、こうありました。

"Finlay's aim is to plant poetry in the natural world"

ああ!



長くなったついでにもうひとつ。
こちらは、街のなかにとけこむ言葉。
読んでるうちに、いつもよりたくさん歩いちゃった、なんていいですね。


景色のなかに言葉を置くこと。

暮らしているところに言葉がころがっていて、それが何かと結びついたらいいなと思ってつくったものがありました。好きだと思える作品に出会うことで、自分が好きなことがくっきりはっきりしてきます。

「木」

木は黙っているから好きだ
木は歩いたり走ったりしないから好きだ
木は愛とか正義とかわめかないから好きだ

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ほんとうにそうか
ほんとうにそうなのか

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見る人が見たら
木は囁いているのだ ゆったりと静かな声で
木は歩いているのだ 空にむかって
木は稲妻のごとく走っているのだ地の下へ
木はたしかにわめかないが
木は
愛そのものだ それでなかったら小鳥が飛んできて
枝にとまるはずがない
正義そのものだ それでなかったら地下水を根から吸いあげて
空にかえすはずがない

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若木
老樹

ひとつとして同じ木がない
ひとつとして同じ星の光りのなかで
目ざめている木はない

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ぼくはきみのことが大好きだ


(「木」 田村隆一 『田村隆一全集2』より)



冬の、美しい枝のかたちだけが見える木が異常に好き、
と思っているけれど、
春になって、ちょっとだけ芽吹いた木を見ると
うわっ、これも好きと思う。
結局、いつ見ても、よい。

写したなかに、木の写真がいつのまにかたくさん、という人は多いのではないでしょうか。


あらためて、「大好きだ」と告白したくなります。



これからは日ざしはどんどん強く・・・。
さえぎるなら、やはり木かげやねえ、と思って
枝とか葉がモチーフの日傘などないかと探してみますが、
今のところ見つかっていません・・・。

「春」




できるだけ細い道を歩こう。細い道を歩いて行けば、ぼくら諸生物を養ってくれる泉にたどりつけるかもしれない。
実生の椿の老樹が好きだ。
野の小さな花が好きだ。
どんなに小さくても、その花々は、まるで星座のように聖なる秩序のなかで生きている。


(「春」 田村隆一 『田村隆一全集2』より)


街路樹の柳が芽吹いていたり、足元にはなずなのように小さな花が咲いていたり。
春は上を見ても下を見てもうれしい。

自分のなかにも冬には眠っていたウキウキ玉が、
そういうのをみるたびに、ぽわっと浮き上がってきてはじける。

この春のしあわせな感じ・・・。


春にはヘンな人が増える、のもわかる気もする。



ところで、☆-月-☆の天体ショー、出張から帰ってきたオットをむかえにいき、
「見た?」ってきいたら
(出張だからたぶん見てないだろう、と思っている)
「あ、それ、東京タワーの横に並んでるの見た」
と。

偶然らしいが、なぜか負けた気がして、ヒジョーに悔しい・・・。


プロフィール

sayaka

Author:sayaka
星の
かわりに
夜ごと、ことばに灯がともる
(ウンベルト・サバ 須賀敦子訳)

ことば+アルファベット+妄想。

カリグラフィーをしています。

町の写字室管理人

@scriptorium303

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