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リネンの紙 3   7/11追記

book 019

ちょっとリネンだけの紙からはなれますが・・・。

上の写真は、『本の歴史』から。

フランスで17世紀に庶民の間に流通した「青本」というものだそうです。

安価な本、青い表紙。

「紙が青くなるのは、原料のぼろが、藍で染められていたことによる」

これも、そういう紙のひとつなのでしょうか。ちょっと調べてみたけどわかりませんでした。

でも今なら、ぼろとはいえ、亜麻を材料に、藍で染められた布からつくられる、
となるとぜいたくな紙に思えます・・・。いい青色です。

絹の着物、同じ絹でも昔の方がよい絹だったときいたことがあります。
亜麻の質も今と昔ではちがうんでしょうか。
古いぼろからつくられた紙、となるとますますぜいたくなのかもしれません。

book 020
book 021

モニカのワークショップでは、最後に製本する際、こんな紙を使いました。
オランダでジーンズなどのぼろからつくられた紙、とききました。
昔は、だから青っぽい色しかなかったとか・・・。
どれも、日本ではお目にかからない風合いなんですよね。
色も質感もエッジもいい感じでラフで。

オランダで、いまでも、風車を利用して手漉き紙をつくっているところのサイトがありました。
ぼろを細かくきざんでたたくのには、木の繊維よりもものすごく時間と力が必要なため、水車の動力が使われたとか。
こちらです

できあがった紙を見ると、モニカの使っている紙によーく似ています。
ここでつくられたものだったのかなあ。
ここ、いつか見学してみたい。


<追記>

やはり、モニカの紙はここの紙でした!
WSをお世話してくださっているHさんから教えていただきました。(ありがとうございます!)
ザーンシュ紙。

さらに・・・

「下の方の写真で、木のサンに掛けて漉いた紙を乾燥させています。ですので、あの紙の中央にはその跡が残ってしまいます。モニカがそう言っていました。」

という貴重な情報も。

うちにある全紙をひっぱりだして確認してみました。
写真、真ん中当たり、少しふくれているのわかるでしょうか?

どんなふうにつくられているかがわかると、愛着もさらに増しますね!

book 023

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リネンの紙 2

リネンの紙。
ときいて思い出したのが、ウィリアム・モリス。
ケルムスコット・プレスでつくられた本をみたときに、確か「linen paper」という表示があったような。

家にある本をいくつか見てみたのですが、紙のことまでは載っていませんでしたので、検索!

するとこちらに記述をみつけました。(大きいPDFファイルです・・・)

71ページあたりから、本をつくる際の紙へのこだわりについて書かれていたので、引用します。

Paper, too, was a key component. “It would be a very false economy to stint in the quality of paper as to price.”. He looked for a paper with the same characteristics that he admired in books printed during the 1470s in Venice and Bologna and found it with Joseph Batchelor, a hand papermaker at Little Chart in Kent. This was a pure linen paper, well sized, very tough, and ideally suited for printing on a hand press. Morris drew three watermarks—flower, perch and apple—for the different sizes in which his paper was supplied.

1470年代にヴェニスやボローニャで印刷された本に使われたのと同じような紙を探して、ケント州のJoseph Batchelor氏のところにたどりつく。その、まじりけのないリネンの紙はにじみ止めの具合もよく、丈夫で、手動での印刷にぴったり。
ウォーターマークも花、魚、りんごをサイズにあわせて使い分ける。
(このマーク、こちらで見ることができます!)

別の、モリスのチョーサー本の説明にも

The paper was made in Little Chart, Kent, England, by Joseph Batchelor & Son, solely from linen rags and no bleaching,

とあります。漂白した白い紙、じゃないんですね。

このあと、ヴェラムやインクへのこだわりも書かれていて・・・
インクは固すぎて職人がやめると音をあげるほどとか・・・
理想の本、つくらされるのもタイヘンだったんですね・・・。

モリスに紙を提供していた"J.Bachelor & Sons"を調べていたら、紙を漉く時の漉き桁コレクションを載せているサイトに遭遇しました。

モリス用の漉き桁はわかりませんでしたが、彼らのはこんな感じ

ウォーターマークをつけるときって、針金をこんなふうにするんですね。
ブリタニアの女神像マーク、かわいらしい。
しかし漉き桁だけでも、奥がふかい・・・。
自分のためのウォーターマークが入った紙ができたら、ぜいたくだけどうれしい。

リネンの紙 1

and1.jpg
アンデルセンの童話に「アマのこころ」という話があります。「アマ」は「亜麻」。

お話は亜麻の花がさいたところから始まります。


「ああ。ぼくはしあわせだなあ。いまにぼくは、きれいなリンネルになるんだ」

そばの棒杭はいじわるに、

「ふん。しあわせなのは、今のうちさ。あとでがっかりするよ」

それから亜麻は引き抜かれ、桶の水のなかにつけられ、石の台の上で「からだがばらばらになるまで」たたかれ・・・
くるしみが続きます。

「たたかれたり もみぬかれたりしているうちに、
 アマの花はばらばらの糸になりました。」

それから、織られていくのですが、それは「しんでしまうか」と思うような痛み。

でもそれが終わるとリンネルに。
ところがよろこびもつかのま、次は鋏で裁たれ、針で縫われ。。。

やっと楽になったとき

「わあい。ぼくはようふくだ!」

またしあわせに。
それから長い間洋服としてすごしますが、古くなると、くずやさんに売られます。

「ずたずたにきられ、こまかくきざまれて、こなごなにされました。
 そして、ぐらぐらとおくすりがにえているあついおかまのなかへいれられました。」

こんどこそだめだと思うと、

「うつくしい真っ白な紙になったのです」

そして印刷屋で一冊の本になります。

子ども達にひっぱりだこの本としてしばらくすごし・・・
最後には焚き火に。

「さようなら、みなさん。わたしは、いろんなものになれてしあわせでした。
 ありがとう、みなさん」

空たかくのぼっていく。



小さいころは、花がいろんなものにかわっていく、現実感のないおとぎ話のように読んでいた気がします。リンネルなんて身近に感じていませんでしたから。
今読むと、北欧の国で、「亜麻」というのは、ひとびとの暮らしと一緒にあるのだなあとしみじみ。
ヨーロッパではぼろ布から紙が作られてた、なんてちゃんと描かれていたんですね。

リネンがあふれている今日このごろ。
よい材料の確保や、作業がたいへんなこともあって、今ではぼろ布から紙をつくっているところはほとんどないようですが、使い込んだ布が捨てる前に紙になったら、と思います。


物語の最後で、アマの花が本になって燃やされる場面。

「アマの花の本だけは、青いほのおをあげてもえました。
そうです。花の色とおなじ青い色です。」

空にアマの花が帰っていく、という童話らしい場面です。

実際には、花が終わって実を付けるころに収穫され、茎、根っこの部分を繊維にされるので、花の色が残っていくことはないのですが、「こころ」を描くために、「花」の物語にしたのでしょうか。

紙の大百科』の「欧米の手漉き紙」の項では・・・

仕分けされたぼろの色、発酵の度合い、水質などが、できあがる紙の色を決定づけるため、当時の技術では、毎回同じ色の紙を作るのは不可能であった。当時は白い紙ほど上質とされ、主に筆記用に用いられたが、色の付いた紙(茶色や灰色など)は低質の紙と見なされ、包装紙などに用いられた。しかしターナーは白い紙のほかに、茶色や青の包装紙を水彩画やスケッチに用いた。もっと古い時代、オールドマスターの素描に使われた紙にも、青味や赤味を帯びたものがある。紙が青くなるのは、原料のぼろが藍で染められていたことによる

とあります。

童話にでてくるのは庶民の暮らしですから、「白い紙」より「青みのある紙」が使われていて、そこからもしかしたらアンデルセンは亜麻の花の色に思いがいたったのかな、など想像してみます。

検索してみると、北海道では一時途絶えていた大規模な栽培にまた取り組んでいるところもあるのですね(亜麻仁油が目的のようですが・・・。こちらでアマの花の写真も見ることができます)。個人の方でも育てて、自分でリネンをつくっている方がいらっしゃったり。
寒いところが適しているようなので、九州では無理かもしれませんが、育ててみたい気持ちがムク、ムク。


かみのかみ

washi1.jpg

カリグラフィーをしていると日本のもの、外国のもの、どちらの紙にもとってもお世話になります。

写真は日本で唯一紙の神様をお祭りしているという神社。
大瀧神社の奥の院、岡太神社にその神様はいらっしゃいます。

去年福井に帰ったときに、越前和紙の里にでかけて、そんな神社があると知りました。

伝説によると、なんでも500年頃、美しいお姫様があらわれて

 ここは谷間で、農業で生活していくのはたいへんでしょう。
 清らかな水に恵まれているのだから紙を漉くのがよいでしょう。

と紙漉きをみずから教えて下さったとか。

今、ちょうどその紙の神様、川上御前のお祭りがひらかれてるそうです。
詳しくはこちらにおまかせ。
しかも今年は33年に一度という御開帳。神様がふもとまでおりていらっしゃるそうで。
明日にはお帰りになるので、ふもとにいる間に福井にむいて感謝しておきます。

ダニ・カラヴァン展から

KAKIのうちあげもあって、二度みることのできたダニ・カラヴァン展。

展示の説明にもふるふるとふるえるようなことばが。必死で書き写した一部。
ダニやん(と敬意と親しみをこめてそうよんどりました)は作品のなかに文字もつかっています。

「旧約聖書の創世記では言葉は人間の創造性を象徴するものであり、カラヴァンは作品に文字(言葉)や数字を使用することによってその人間の創造性を肯定的に捉えようとしているといえるでしょう」

図録ではさらに詳しく
「文字は、「主なる神は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土でかたちづくり、人のところへ持ってきて、人が呼ぶと、それはすべて、生き物の名となった」(創世記2:19)とあるように人間の創造性を象徴するもの・・・・」

これはあくまでも解説者の方の文章なので、ダニやんのことばではありませんが。

プロフィール

sayaka

Author:sayaka
星の
かわりに
夜ごと、ことばに灯がともる
(ウンベルト・サバ 須賀敦子訳)

ことば+アルファベット+妄想。

カリグラフィーをしています。

町の写字室管理人

@scriptorium303

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