FC2ブログ

コトバ綴ジ

Tag : 文字

きた

dj1.jpg

The Painted Inscriptions of David Jones。

dj2.jpgdj3.jpg

もっともっと見たくて、知りたかったのでずっとほしかったのですが、
絶版でAmazonではとんでもないお値段・・・。
でも、ほかのところで見つけて、Walesの本屋さんから届きました。

うっはー。やっぱり好きです。
ああ、楽しみだし、うちにあるってだけでウキウキします。

スポンサーサイト



『・・・・・そしてまた文字を記していると



・・・しんと静かな夜に文字を書いていると、インクの色に夜の時間がまじってくる。インクの夜、夜のインク。

・・・修道院では火事になるのを防ぐためもあって、写字は日のさしこむ明るい回廊で朝から行う、と読む。
 同じように朝から文字を書き始めて、白い紙が埋まっていくにつれて、日も暮れていく。文字やことばや思いがたまって夜をつくる。

・・・考えの鎖を解き放たれたら、からだのくびきからも解放されるんだよ、と読む。目の前の文字も意味やかたちから解放して、ページから空にはなちたくなる。


書きながらあれこれと思い浮かんで、作品のもとになる。
自分の手で書く、という行為は、からだをつかっているので自然とまわりと関連するのだと思う。



『・・・・・・そしてまた文字を記していると』。
すばるの4月号に掲載されている谷崎由依さんの短編です。

静けさにみちた石壁の写本室で、夜、ささやかな灯火のもとで文字を書く、
そんな場面から始まります。
(もしまっさらで読みたい方は、この先読まないでください。)
文字や言葉でいろいろ妄想するのが好きな人には、たまらない描写がたっぷりですのでぜひどうぞ。


文字を書くと同時に、あかりを反射しているペン先のひかりの点が描く宙の文字を好む主人公の彼。
自分の手で書く、身体をとおす、という、その行為で、表にあらわれていない文字を見る。

夜、小さなあかりを手に、回廊を手でそっとなぞり感触をたしかめながら歩く。「よそよそしい」言葉も、自分の身体をとおすことで自分の一部になる。「問い」をつうじて、奥へ奥へとはいっていこうとする。そんな世界のたしかめ方が、とても好き。
自分とまわりのもの、ものともの、みなの境があいまいな、ひとつという感触も。

回廊をぐるっとまわると元の場所だが、けしてそこは同じ場所ではない。
こんな描写がありますが、物語は、そんなふうにすすんでいきます。

人里離れた高い山の上の僧院という限られた場所。
書物、経典のなかからすべてのものが生まれる。

ほんとうに小さな小さな手元の世界からはじまった妄想幻想的な世界がうわっと外につながる最後にははっとします。
いつの時代の、どこなのか、はっきりと書かれてはいませんが、単語やルビや旗の色でわかります。
彼が闇に、空に、書かれてはいない文字を見るのはそういうことだったのか。
幻想的な小さな世界から、あの国で起きている現実に。
彼は読むべき文字を見つけたのかもしれない。


旗に経文を書いて風になびかせるのは、祈りを風にのせて世界に広げるため、ということらしい。
つまり、はためいたそのときから、祈りはそこから吹かれてはなたれていき、旗の文字はその祈りの「残像」ともいえるのだと思う。物語の冒頭の、彼が好む「書いている文字の双子のような残像である文字」も、いったいどちらが残像なのか。

読まれるべきことばは浮かんでいるのに、それを読み取れない、読み取ろうとしていないのかもしれない。でも誰かが受け止めて、また、はなたなければ世界は壊れていくのかもしれない。

空中にただよう祈りをつかんでいるのは、詩や物語や、芸能や、芸術なのかもしれない、とも思います。


読んでいると、ひとつぶの砂に世界を見る、というブレイクの詩も思い浮かんできたりするのですが、これはググってみると、華厳経の教えと同じ考え方なのだそうですね。物語の舞台の宗教(もう隠さなくてもバレバレな感じですが)でも、重要なものとのこと。今回初めて知りました。ウィリアム・ブレイクは影響を受けていたのでしょうか。




Not a series of strokes, but space



タイトルに引用したのは、オランダのタイプデザイナー、Gerrit Noordzij(ゲリット・ノールツァイ)氏のことば。

Writing is not a series of strokes, but space, divided into characteristic shapes by strokes.

(といっても、言葉を先に知ったので、この方のことはあまりよく知らないのです。
いちおうリンクを2つ。。)

自分の書いている線。線によってつくられる形。
文字と文字の間。

写真は熊本の新聞博物館で見た手動丸鉛版鋳造機のなか。輪転機に取り付ける鉛版をつくるときに使う機械。中をのぞきながら、版の文字そのものよりも、それを囲む暗闇のなかに語られるものが溶け込んでいるような想像をしたり。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

今回帰省のあいだに読んだ本は2冊。アンのワークショップをきっかけに、幾何学に取り組んでみようかなあなどと思いながら買ったままになっていた本。

ひとつは『アリストテレス はじめての形而上学』。「線とは何か」から「あるとは何か」を考えていく。

そして『フラットランド』。これは2次元の世界に住んでいる主人公が3次元の世界を見る、というお話。(膨大な注がついているのですが、注を読んでいるうちに前の章の内容を忘れてしまうくらいなので、もし読むならまず本文のみとおして読むのをおすすめします。)

2次元の世界。紙に書いたアルファベット「A」から隣に書かれた「B」を見ても、ただの線が見えるだけ。(同じ高さならAもBも当然真横からみたら同じ幅の1本の線に見える)。
本の中では線(女性)と多角形(円)(男性)が住んでいるのですが、もちろんその形を上からみることはできない。霧に包まれた世界で、線がどんなふうに見えなくなっていくか、でどの多角形か判別できる。たとえば、ものすごい鋭角の二等辺三角形で、その鋭角のほうから見ると、見える線は短く、あとはあっというまに霧の中。円なら、線は長く、徐々に霧に消えていく。

pointland(点の世界)、lineland(線、1次元の世界)、flatland(面、2次元の世界)、spaceland(空間、3次元の世界)・・・。
ちがう次元を見せられながら、文字のことがいろいろ頭をよぎります。

スペーシング。距離ではなくspace。平面に文字を書いているけれど、その形がわかるのは3次元の世界に住んでいるからなんだと当たり前のことを改めて。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

さて今回、帰省の途中で数時間京都滞在。
下鴨神社の古本市に行こうか迷ったけれど、雨が降っていたので、たまたま帰省直前に知ったギャラリー雅景錐さんに

そこで井川淳子さんの作品を初めて見ました。

展示していたシリーズとはちがいますが、
作品はこちらで見ることができます。

匠ミュージアム 第1回 第2回 第3回


まちがいなく「好きそうーー」と言われるかと。
はい、好きです。

ギャラリーでは第2回のところに載っている針の写真のシリーズで、針が1本だけの実物も見せていただきました。
それは、ある空間、次元の裂け目のようにも。

・・・この滴り落ちるのは時の尖が細つて点になったのだ。
 This drop falling is time tapering to a point.

(『波』ヴァージニア・ウルフ 鈴木幸夫訳)

帰省から帰ったあと『波』を読みながら、この箇所でその作品を思い出しました。


展示していたのは、リンク先の作品とはまたちがうシリーズです。
昨日、うちにお迎えしました。

ブランショの『アミナダブ』からのことば。
意味をもつのはそのことばを綴る文字ではなく、その間のスペース、space。
ながめているとそこに広がるのは3次元、4次元・・・多次元の世界。

そんな作品です。


驚くべき学びの世界 展

reggio.jpg

これも先月の話。去年の装苑を読んでいたら、当時(6月ごろ)にワタリウム美術館でやっていた「驚くべき学びの世界」展が紹介されていた。

レッジョ・エミリアというイタリア北部の小さな都市で行われている幼児教育。

こどもは百の言葉や手や思いや考え方や遊び方や話し方を・・・もっている。
教育によってその九十九は奪われる。
そうではなく、こどものもっている百をそのまま使って学んでいく。

ローリス・マグラッツィという方の哲学を実践している教育なんだそう。大人の知っている、考えているものをあたえないこと。
大戦後、街づくりの中心として、この幼児教育を中核にした、その発想もすばらしい。

今回展示されているプロジェクトのひとつとして「書くことの魅力」というものがあって、これがとってもおもしろそうだったので、この展示のカタログでもある本を買ってみました。

文字を書くこと=あらゆるものとのコミュニケーションという考え方と、そして子供たちが実際に書いた、いろんな素材を使って自由で伝わるコトバにすっかり魅せられました。書き言葉のきまりをはっきりと知らない子どもたちが、最初はアルファベットを示されることすらなく、書き言葉と話す言葉と自分のまわりにある世界をつなげながら、文字の世界を探求していく。

いくつか印象深い言葉を引用します。

…自然で芸術的な感性を刺激する場から書くことを切り離すことは、表現とコミュニケーションの可能性を台無しにしてしまうことになるでしょう。…学校では言葉の音声と文字を書くことが分離され、文字の形に潜んだ表現の可能性にほとんど価値が与えられず、発音を繰り返すことにのみ関心が向けられている

…(レッジョ方式による「レタリング」では)文字、言葉、文章のなかでテクストとイメージは織りまぜられ、書かれた文字のコミュニケーションの力を高めたり、アイデンティティを際立たせて、より多くの意味を特定のテーマやコンテクストに付け加えたりします。
…レタリングは比喩を視覚的に表現した書き方です。比喩とは意味を広げること、考えを洗練すること、そして一片の詩をつくることです。新たな認識と表現を獲得することでもあります。

…アルファベットが発明されて以来、人類はアルファベットの基本的な形を変化させて、試行錯誤をくりかえしてきました。芸術的な感性に富むと同時にコミュニケーションの豊かな探求のなかで、アルファベットはその姿を変化させてきたのです。

たくさん書きたいけど・・・ここまでにしよう。興味を持った方は『驚くべき学びの世界』を読んでみてください。

ちょうど福岡に展示がくることも知ったので(15日までアルティウムで開催中)、先日見てきました。

壁面に書かれていることや写真は本にも載っていることですが、いろいろなプロジェクトを実践しているビデオがおもしろい。
文字のところでは実際に、こどもたちが書いたものも見ることができます。

福岡の展示のパンフレットから、ひとつ。

reggio1.jpg

展示の内容は、英語ではありますが、こちらのページでちらりと見られます。
「FIGURATIVE WRITING」のページにでてくる、子供たちのかいたことば、左は「恐怖」右は「バラ」。


…私たちのねらいは、書き言葉が持つコミュニケーションの可能性を最大限まで引き出して書き言葉の世界へ入り込むことでした。

書くこととコミュニケーション。去年のWSでMonicaが言っていたことを思い出しました。レッジョ・エミリアはイタリアの都市でもあるし、メールしてみたら、やっぱり知ってました。とても興味深くてすばらしいことをやっている、と。Monicaもこどものための本を出してますが、レッジョのほうがもっと小さい子たちのためのやり方なのだそうです。


ペンギンブックス Grear Ideas Series


pga2.jpg

以前触れた『ペンギンブックスのデザイン』で知った、Great Ideas シリーズ。
「世の中をかえた」、クラシカルな内容にぴったりの、文字だけでデザインされた表紙にこころうばわれ・・・。
内容も興味ある方々に、うちにきていただきました。
(クリックすると少し大きい画像になります。)

このシリーズについては、こちらのペンギンブックスのサイトを。

pga3.jpg

シリーズ1~5まででテーマカラーがちがいます。
表紙は、黒とそのカラーの2色。
うちにきたのは、シリーズ1と2から。

背はそのシリーズの色になってます。

pga4.jpg

なかでも私をメロメロにしたのは、これ。著者もキェルケゴールです。
これ以外にもありますが、タイトル、内容、出版社が対等にデザインされてるのがおもしろい。

7冊中、6冊がDavid Pearsonという方のデザイン。
マルクス・アウレリアスだけが、『ペンギンブックスのデザイン』の著者でもある、Phil Bainesさんのもの。

David Pearsonさんの学生時代のtutorがPhil Bainesさんなんだそうです。

pga6.jpgpga5.jpg

すべて、型押しされていて、価格のわりにとってもきれいなのですが・・・。あとから押してるせいか、小さい文字になるとずれまくってるのが・・・(泣)。
デザインがきれいだから、型押してなくても十分いいのになあと思います。

ふー、それにしても開いて型をつけるのももったいなく。
という都合のいい理由をつけて、表紙をみせるようにして、本棚にしばらく(ずっと?)飾っておくことになりそうです。


そういえば、私がカリグラフィーでブックカバーをつくろう、と思った理由のひとつが、手持ちの本をカバーして、こんなふうに面出しして本棚でもどこでも置いてもらったら、手軽に、ことば&カリグラフィーに親しんでもらえるかなあと思ったことです。額にいれる必要もないし、ちがう本にかけかえてもよいなあ、と。


プロフィール

sayaka

Author:sayaka
星の
かわりに
夜ごと、ことばに灯がともる
(ウンベルト・サバ 須賀敦子訳)

ことば+アルファベット+妄想。

カリグラフィーをしています。

町の写字室管理人

@scriptorium303

最新記事

カレンダー

09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新コメント

カテゴリ

ユーザータグ

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QRコード

Top